「心理主義化」だけでなく

「心」をめぐる知のグローバル化と自律的個人像―「心」の聖化とマネジメント

山田陽子『「心」をめぐる知のグローバル化と自律的個人像―「心」の聖化とマネジメント』学文社、2007年。

興味深く読めた。ただ、表題にある「グローバル化」については、あまり突っ込んで論じられていないように見える。

あと、とくに注目したいのが、従来の「心理主義化」論では看過されていることについての次の指摘。少しが長いが引用。

だが、本書では、「心のケア」が定着する一方で精神性が全く度外視される動向も進行している点をこそ特に強調しておきたい。というのも、現在の精神医療の現場では薬物療法や生物学主義への偏重が色濃く、精神的な苦悩や人生における迷いに診断名をつけ、薬物によって解決する傾向が顕著になっている。「心」をめぐる知がさまざまに生まれ、個人の内面へと関心が向かう一方で、苦悩や迷いの内容については一切問わずに薬物や人間関係の技術的訓練によって問題を処理しようとする動向が生じている。(iii-ivページ)

上記の点は、だいぶ前に読んだ、木村敏・檜垣立哉『生命と現実―木村敏との対話』で木村さんが批判的に書かれていた「精神医学の自然科学化」と共通すると思う(水上研究室 – 木村敏・檜垣立哉『生命と現実』)。

「心理主義化」「心理学化」に関する議論は、社会学のなかでそれなりに蓄積があると思うが、上記のような「自然科学化」「生物学化」ついては、どうか。

実際、いわゆるライフハック系の議論においても、希釈されたかたちで上記の傾向が出てきているような気がする。