文学全集

文学全集を立ちあげる

丸谷才一・鹿島茂・三浦雅士『文学全集を立ちあげる』文藝春秋、2006年。

架空(?)の世界文学全集と日本文学全集を編纂するという対談。世界文学全集が133巻、日本文学全集が古代から19世紀までで88巻、20世紀以降が84巻、総計305巻。

三者の掛け合いとツッコミがものすごく面白くて、取り上げられている文学作品を読んでいなくても、十分、楽しめます。読んでいて、つい吹き出した箇所が多々ありました。「これも読んでみたい、あれも読んでみたい」といった気持ちになります:-)。

しかし、実際に文藝春秋社がここで構想された文学全集を刊行することは、おそらくないはず。そのあたりが、ある意味、さみしいかも。

たぶん、文学全集なるものが成立するには、いろいろと社会的・文化的条件が必要なんだろうなと思います。文学やあるいは教養に対する志向が社会的に存在するかどうか、ということもありますが、もう一つ、「全集」なるものが受け入れられるかどうかもポイントかな。それは、家屋の造りといったことから、モノとしての書籍の位置づけ、あるいはコレクションという全体への希求といったことも関わると思います。文学全集が成り立つ条件についての社会学的研究とか既にありそうですね。

最近だと、池澤夏樹さん個人編集の「世界文学全集」が話題になったかと思います。あるいは、光文社の古典新訳文庫のシリーズも、ある意味で「世界文学全集」に近い存在かもしれません。

私自身、ハードカバーの「全集」を揃えるというよりは、自分なりに作家や作品を選んで文庫で読んでいくのがしっくりくる気がします。しかしまあ、そもそも自分にはほとんど文学的素養がないなあとあらためて思いました。社会学の研究にとっても、文学的感性はけっこう重要ですし、ちょっとなんとかしたいところです:-(。