デュルケム『自殺論』「第5章アノミー的自殺」

自殺論 (中公文庫)

「生活様式」「生活の快適さ」の点で欲望に限度がなくなること、社会的規制が力をなくすことが論じられている。この「欲望」の意味を少し広く捉えてもよいかもしれない。

文中にも「要求」「希望」という表現がある。つまり、物質的な意味でのそれに限らず、むしろ、自己それ自体についての「要求」「希望」が無限に拡大すること。

自己イメージ、自己像、自己それ自体について「無限という病によって苛まれている」(第6章の359ページ)こと。「君には無限の可能性がある」「何でも好きなことをしなさい」「何でもできるんだよ」……。

デュルケームの議論は、ホネットの承認論と通じているところがある。というか、ホネット自身、そのことをどこかで述べていたか。承認論の「デュルケーム的転回」。